「それでも、
こんなに痛いんです」
画像がきれいでも、診断名がついていても。
残るその痛みの、本当の原因を一緒に探しましょう。
入口は違っても、当院に来られる方が最後に口にされる言葉は、同じです。
――「それでも、こんなに痛いんです」。
ここで、ひとつ考えてみてください。
画像がきれいでも、診断名がついていても、共通して残るこの痛みは、いったいどこから来ているのでしょうか。
「異常なし」は、一見、見放されたように聞こえます。でも見方を変えれば、骨が大きく壊れているわけではない、という朗報でもあります。
「ヘルニア」「狭窄症」という診断も、後でお話しするように、それだけが痛みの犯人とは限りません。
どちらの方にも共通する、見過ごされてきた本当の原因があります。
ここから先は、一つの事件を解くつもりで読んでみてください。
痛い場所には、たいてい
「アリバイ」がある
国際腰痛学会 最高賞論文より
痛みのない健康な60代の約9割に椎間板の変化が見つかった研究があります(1995年・国際腰痛学会ボルボ賞論文)。画像に写った一番目立つ傷が、いま痛んでいる本当の原因とは限りません。
少し意外な数字からお話しします。
腰痛のない、まったく健康な人たちのMRIを撮った研究があります。1995年、国際腰痛学会(ISSLS)でボルボ賞という最高の賞を受けた、世界的に有名な研究です。
その結果、痛みのない健康な60代の、約9割に椎間板の変化が見つかりました。
つまり、画像に変化があっても痛くない人が、こんなにたくさんいる。
逆に言えば、画像に写った一番目立つ傷が、いま痛んでいる本当の原因とは限らない、ということです。
事件の捜査に、よく似ています。
現場でいちばん目立つ傷を見つけて「こいつが犯人だ」と決めつける。でも、その目立つ傷には、実はアリバイがあった――。名探偵なら、ここで立ち止まります。
腰痛も同じです。
あなたが痛みを感じている腰は、多くの場合「現場にいた」だけの被害者です。本当の犯人は、現場から少し離れた、目立たない場所に隠れています。
痛い腰をいくら揉んでも、数日で元に戻る。それは、被害者を介抱しているだけで、犯人を野放しにしているからです。
では、真犯人は誰なのか。
画像には決して写らない、3人の容疑者がいます。当院ではこれを「三本柱」と呼んでいます。
画像に写らない、
3人の容疑者
三本柱:血の巡り・関節の動き・神経の滑り
整形外科の画像は、骨や椎間板の「形」を診る、大切な検査です。重大な病気を見つけるために欠かせません。
ただ、画像が写すのは「形」だけ。痛みの原因の多くは「形」ではなく「働き」にあり、働きの不調は写りません。だから「異常なし」と出るのです。
写らない容疑者は、3人です。
容疑者その1:血の巡り
固まった筋肉が、その中を通る血管を押し潰し、酸素が届かなくなる。
庭のホースを足で踏んで、水が止まっている状態です。踏んでいる足をどかさない限り、ホースの先をいくらいじっても水は流れません。
酸素が届かない筋肉は、ますます硬くなり、「痛い」という信号を出す物質をその場に溜め込みます。本来なら血液が洗い流してくれるその物質が、流れが止まって溜まり続ける。これが慢性的な痛みの出発点です。
容疑者その2:関節の動き
関節には、自分では意識できない「1ミリの遊び」があります。これが失われると、特定の場所だけに負担が集中します。
窓のサッシに砂が噛んで、動きが重くなった状態です。レールから外れてはいない。だからレントゲンには「異常なし」と写ります。でも、動かすと重く引っかかる。体はその関節を守ろうと周りの筋肉を固め、また血の巡りが悪くなります。
容疑者その3:神経の滑り
健康な神経は、体を動かすたびに、筋肉の間をスルスルと滑っています。
でも周りの組織が硬くなって癒着すると、動くたびに神経が引っ張られ、酸欠を起こします。
しびれは、神経が「潰されている」のではなく「引っ張られている」ことも多いのです。ゴムを引っ張りながら使えば傷むように、神経も引っ張られ続けると過敏になり、ちょっとした動きでもしびれを感じるようになります。
「画像に写った傷」は、容疑者ではないのか?
ここで、こう思った方もいるかもしれません。「ヘルニアと診断された。画像に写っている。あれは容疑者じゃないのか?」と。
もちろん、容疑者の一人ではあります。ただ、単独犯ではないことがほとんどです。
画像に写る傷は、いわば顔が知れた、目立つ容疑者。でも事件の多くは、その傷に、ここでお話しした「写らない3人」が共謀して起きています。だから、写った傷だけを責めても、事件は解決しないのです。
容疑者たちは、共謀しています
血が止まるから筋肉が固まり、関節の遊びが消える。関節が動かないから周りが固まり、また血が止まる。神経が酸欠になり、しびれが出る――。
容疑者たちは、互いにかばい合いながら悪循環を回しています。だから、1人だけ捕まえても事件は解決しない。全員を同時に追い詰める必要があるのです。
真犯人は、なぜ
捕まらなかったのか
運動連鎖という考え方
「腰が痛いんだから、犯人は腰でしょう?」
そう思うのが自然です。でも、ここに事件の難しさがあります。
私たちの体は、足首から首まで、一本の鎖のようにつながって動いています。
自転車のチェーンと同じです。どこか一箇所が錆びついて動かなくなると、その負担を別の場所がかぶり続けます。
たとえば、足首が硬い。その硬さをかばって膝が、股関節が、骨盤が、少しずつ無理をする。最後にしわ寄せが、いちばん集まりやすい腰に届きます。
このとき、真犯人である足首や股関節は、痛みを出しません。平気な顔をして、まるでアリバイがあるかのように振る舞っています。一方、何の落ち度もない腰だけが、みんなの分まで働かされて悲鳴を上げるのです。
だから「腰が痛いから腰だけ調べる」捜査では、真犯人はいつまでも捕まりません。
腰をマッサージした直後だけ楽になって、また戻る。それは、現場(腰)ばかり見て、離れた場所に潜む真犯人(足首・股関節・背中)を一度も取り調べていないからです。
当院が初回に2時間かけ、足首から全身を調べるのは、このためです。痛い場所ではなく、アリバイのある容疑者まで含めて、全員を取り調べる。それが、事件を解く唯一の道だからです。
関連ブログ 全身のつながりについて、図解でもっと詳しく|運動連鎖とは →「ヘルニア」「狭窄症」
という名前で、犯人を
決めつけていませんか?
ここまで読んで、「自分はヘルニア(狭窄症)と診断されている。だから犯人はもう分かっている」と思われた方もいるかもしれません。
たしかに、ヘルニアや狭窄が痛みに関係していることはあります。それを否定するつもりはありません。
ただ、思い出してください。②でお話しした、痛みのない健康な人の約9割に椎間板の変化があった、という事実を。
診断名は、いわば「現場で見つかった一番目立つ傷」です。でもその傷だけが犯人とは限りません。多くの場合、その上に、3人の容疑者(血流・関節・神経)が重なって、痛みを強くしています。
だから、骨そのものの形は変えられなくても、重なっている原因を一つずつ整えることで、痛みが和らぐ方は少なくありません。
そして、診断名がついていない方――「異常なし」「年のせい」と言われた方も、まったく同じです。
診断名があってもなくても、画像に写らない3人の容疑者がいることに、変わりはないからです。
あなたの状況に近いものから、もっと具体的な考え方をお読みください。
椎間板ヘルニアと診断された方へ
「手術しかない」と言われた方へ。画像のヘルニアと、今の痛みは別かもしれません。
椎間板ヘルニアの考え方 →脊柱管狭窄症と診断された方へ
「少し歩くと休んでしまう」その症状、狭窄そのものが原因とは限りません。
脊柱管狭窄症の考え方 →坐骨神経痛・足のしびれの方へ
「年のせい」と言われても、しびれは続く。原因は腰ではないかもしれません。
坐骨神経痛の考え方 →すべり症と診断された方へ
「ズレているから痛い」とは限りません。整えられる余地があります。
すべり症の考え方 →※どの診断名であっても、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。
【診断名がない・どれにも当てはまらない方へ】
「異常なし」「年のせい」としか言われていない方や、上のどれもしっくりこない方は、まず痛みの出る動作・場面から見ていくのが近道です。前にかがむと痛い、歩くと痛い、朝が痛い――そうした動作別の解説を、こちらに整理しています。
なぜ、当院は
「検査」を最も重視するのか
現場検証という考え方
事件は、現場をきちんと調べなければ解けません。
同じ「腰痛」でも、血の巡りが主犯の人、関節が主犯の人、神経が主犯の人がいて、それぞれ必要な施術はまったく変わります。だから当院は、施術の前の検査に最も力を入れています。
経過をじっくり伺い、立ち方や歪みを見て、関節がどこまで動くかを確かめ、本来働くべき筋肉がサボっていないかを調べ、全身を触診する。足首から全身を一つずつ取り調べて、「どこがサボり、どこが頑張りすぎているのか」を絞り込みます。
そして、正直にお伝えしたいことがあります。
初回の検査だけで、すべての真相が一度に分かるわけではありません。
検査をして、施術をして、もう一度検査をする。「この動きで痛みが消えるか」「力が戻ったか」を、その場で確かめながら、容疑者を一人ずつ絞り込んでいきます。
「犯人はここです」と、最初から言い切ることはしません。何院も回って、断言された通りにしても治らなかった方なら、その難しさをよくご存じだと思います。
あなたの体と毎回きちんと向き合いながら、一緒に答えを探していく。それが当院のやり方です。
「8年前に診断され、半年リハビリに通っても変わらなかった痛みが、施術後は不思議なくらいとれました。今では、腰痛を忘れるくらい良い状態です」
安全のために|
病院を優先すべきケース
ひとつ、大切なことを。
病院での検査は、捜査でいえば「重大事件が隠れていないかの確認」にあたります。これは欠かせない最初のステップです。当院は医療を否定する立場ではありません。病院は「形(構造)」を診る専門家、当院は「働き(機能)」を診る専門家。役割が違うだけです。
⚠ 次の症状がある場合は、まず医療機関へ
整体よりもまず、医療機関での検査をお勧めします。
・排尿・排便に異常がある ・足の感覚が、明らかに鈍くなってきた ・足に力が入らない ・発熱を伴う腰痛 ・事故や転倒のあとの、強い痛み
これらは、脳・脊髄・神経に重大な異常が隠れている可能性があります。当院でも、こうした症状がある場合は無理に施術を行わず、安全を最優先に考えます。
「もう年だから」と、諦める前に。
私は、「どんな腰痛でも必ず治します」とは言いません。
でも、なぜ今まで治らなかったのかを説明できないまま、終わらせることはありません。
骨そのものの形は変えられなくても、体の「働き」――血の巡り、関節の動き、神経の滑り――は、何歳からでも整えていけます。当院に通われている最高齢の方は、94歳です。
当院には、先払いの回数券はありません。無理に通わせることもしません。通っていただいた分だけ、自然に割引が受けられる仕組みです(6回目で3割引、12回目で半額)。ご相談だけでも、構いません。
筑後川沿いの散歩も、ゆめタウン久留米での買い物も、もう一度、痛みを気にせず楽しめるように。
まずは一度、あなたの体の話を聞かせてください。目立つ傷ではなく、本当の犯人を、一緒に探しましょう。
※ご相談のみでも大歓迎です。無理な勧誘は一切行っておりません。
もっと深く知りたい方へ
このページでは、腰痛の考え方の全体像をお話ししました。さらに深く知りたい方は、テーマ別の記事をご用意しています。
あなたは、どの動作で痛みますか?
「前にかがむと痛い」「反らすと痛い」「歩くと休んでしまう」「座っているとつらい」「朝起きたときが一番痛い」「立ち仕事で痛い」――こうした動作・場面ごとの原因と対策は、すべての記事を整理した完全ガイドにまとめています。