腰痛の85〜90%は画像検査で原因が特定できない「非特異的腰痛」です。その隠れた原因として注目されている「トリガーポイント(筋肉のしこり)」と、離れた場所に痛みを飛ばす「関連痛」のメカニズムを、最新の研究論文をもとに久留米の腰痛専門整体師がやさしく解説します。
久留米市の腰痛専門整体院 整体ポノの髙田です。
「MRIでは異常なしと言われた。でも、たしかに腰が痛い」 「痛いのは腰なのに、押されて痛かったのはお尻や脇腹だった」 「マッサージで腰を揉んでもらっても、3日で元に戻る」
当院には、こうした経験を重ねた50代〜70代の方が数多く来院されます。 「もう5分も続けて歩けない」「このまま歩けなくなったら、家族に迷惑をかけてしまうのではないか」——痛みだけでなく、将来への深い不安を抱えていらっしゃる方がほとんどです。
あなたがこれまで痛み止めを飲み、湿布を貼り、懸命に治療に通ってこられたことは、決して無駄ではありません。それでも痛みが消えないのは、あなたの体が弱いのではなく、痛みの**「本当の犯人」**がまだ見つかっていないだけかもしれないのです。
私は、医療機関での治療後も改善しなかった方のために、10年以上にわたり全国の治療家のもとに足を運び、解剖学・神経科学・疼痛科学の知見を臨床に落とし込んできました。その中で辿り着いた「慢性腰痛の隠れた犯人」の一つが、**トリガーポイント(筋肉のしこり)と、そこから離れた場所に痛みを飛ばす「関連痛」**という現象です。
トリガーポイントは単なる筋肉のコリではありません。当院が提唱する**「血流障害(組織の酸欠)」「関節機能障害(運動連鎖の破綻)」「神経へのストレス」という三本柱が複雑に絡み合った結果**として生まれる、痛みの発信源なのです。
※この記事を読む前に大切なこと:足に力が入らない、排尿・排便に異常がある、安静時にも激痛が続く、発熱や急激な体重減少を伴う——こうした症状がある場合は、重大な疾患が隠れている可能性があります。まずは整形外科で検査を受け、骨折・腫瘍・重篤な神経障害などを除外してもらうことが何より重要です。整体はこうした医療の役割を代替するものではなく、医療機関で「構造的に大きな問題はない」と確認された上で、画像に写らない「機能の問題」にアプローチする立場です。
【この記事でわかる3つのポイント】
① トリガーポイントができる科学的な理由——「筋肉のエネルギー切れ」が生む酸欠の悪循環
② なぜ「離れた場所」が痛くなるのか——脳が痛みの場所を間違える「関連痛」の正体
③ 腰痛を引き起こす「隠れた犯人筋」の一覧と、それぞれの痛みの飛び方
- トリガーポイントとは?——腰痛の原因になる「筋肉のしこり」の正体
- なぜ腰痛の原因となるトリガーポイントができるのか——筋肉の「酸欠」が生む悪循環
- トリガーポイントに痛み物質が溜まる科学的証拠
- なぜ「腰が痛い」のに原因が腰以外にあるのか——関連痛のメカニズムをわかりやすく解説
- 腰痛を引き起こすトリガーポイントの原因筋一覧——臨床で多い「犯人筋」まとめ
- 腰痛を引き起こすトリガーポイントの原因筋一覧——臨床で多い「犯人筋」まとめ
- トリガーポイントは画像検査で見つかるのか?——MRIに写らない腰痛の診断最前線
- 臨床報告:久留米の整体ポノで見つけた「痛みの真犯人」
- 整体ポノのトリガーポイントへのアプローチ——
- 今日からできる安全なセルフケア——
- セルフチェック:あなたの腰痛にトリガーポイントが隠れている7つのサイン
- 腰痛とトリガーポイントに関するよくある質問
- まとめ——腰痛とトリガーポイント・関連痛の関係 長い記事をここまでお読みいただき、ありがとうございます。
トリガーポイントとは?——腰痛の原因になる「筋肉のしこり」の正体
【結論】 トリガーポイントとは、筋肉の中にできた「縮んだまま元に戻れなくなった小さな結節(しこり)」のこと。押すと強い痛みがあり、しかもその痛みが離れた場所にまで飛んでいくのが最大の特徴です。
筋肉を触ると、ピンと張った「硬い帯」のようなものを感じることがあります。専門用語では「緊張帯(タウトバンド)」と呼びます。 トリガーポイントは、この緊張帯の中にある**極めて敏感な「結節(こぶ)」**です。
ここを指で押すと、2つのことが起きます。 ① その場が強く痛む——「そこそこ!」と思わず声が出るほどの圧痛 ② 離れた場所にも痛みが広がる——押しているのはお尻なのに、腰や太ももにズーンと響く
この「離れた場所に痛みを飛ばす性質」こそが、トリガーポイントの名前の由来です。「トリガー(引き金)」を引くと、別の場所で「痛みの弾丸」が着弾する——そんなイメージです。
この概念を体系化したのは、アメリカのJanet Travell博士とDavid Simons博士です。彼女らが編纂した『Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual(トリガーポイント・マニュアル)』は、世界中の疼痛治療の教科書となっています(※1)。
腰痛に関わるトリガーポイントには「活動性」と「潜在性」の2タイプがある
【結論】 今まさに痛みを送り続けている「活動性」と、普段は静かだが押せば暴れ出す「潜在性」の2タイプがあります。潜在性でも体の動きを狂わせるため、放置は禁物です。
活動性(アクティブ)トリガーポイントは、じっとしていても、あるいは日常の動作で痛みを送り続けます。「ずっと腰が重だるい」「朝起きたら腰が痛い」という慢性痛の正体であることが少なくありません。筋力の低下や関節の可動域制限も引き起こします(※1)。
潜在性(ラテント)トリガーポイントは、普段は痛みを感じません。しかし、押したり筋肉を伸ばしたりすると痛みが出ます。「痛くはないけど、なんとなく体が硬い」「動きがぎこちない」——その裏に潜在性トリガーポイントが隠れていることがあります(※1)。
見逃せないのは、潜在性のトリガーポイントも筋肉の動員パターン(使い方の順番)を狂わせるということ。痛みはなくても、体の動きのバランスは確実に乱れています。そしてストレスや疲労が重なれば、潜在性が活動性に「昇格」して、突然痛みを送り始めることもあるのです。
なぜ腰痛の原因となるトリガーポイントができるのか——筋肉の「酸欠」が生む悪循環
【結論】 筋肉と神経のつなぎ目で化学物質が漏れ続け、筋肉が「縮んだまま戻れない」状態に陥ります。これが血管を潰して酸欠を起こし、さらに縮みが固定される——科学的に「エネルギー危機」と呼ばれる悪循環がトリガーポイント形成の核心です。

「なぜ筋肉にしこりができるの?」 この疑問に対して、現在もっとも支持されている科学的な説明が**「統合トリガーポイント仮説(Integrated Trigger Point Hypothesis)」**です(※2)。 少し専門的に聞こえますが、わかりやすくお話しします。
ステップ①:神経と筋肉の「つなぎ目」で蛇口が漏れ続ける 筋肉を動かすとき、神経は「アセチルコリン」という化学物質を使って筋肉に「縮め!」と命令を送ります。この命令が送られる場所を「運動終板(うんどうしゅうばん)」と呼びます。 通常、命令が終われば化学物質の放出も止まります。ところがトリガーポイントの部位では、命令していないのにアセチルコリンが漏れ続けているのです(※2)。蛇口を閉めたのに水がポタポタ漏れ続けている状態と同じです。
ステップ②:筋肉が「握りこぶし」のまま固まる 漏れ続けるアセチルコリンのせいで、筋肉の中ではカルシウムイオンが放出され続けます。カルシウムは筋肉を縮ませるスイッチです。スイッチが入りっぱなしなので、筋肉の一部がギュッと縮んだまま固まります(※2)。これが触診で感じる「しこり」——収縮結節(しゅうしゅくけっせつ)——の正体です。
ステップ③:血管が潰れて酸欠になり「負のループ」が始まる ここからが深刻です。縮みっぱなしの筋線維が、その周囲の細い血管を押し潰します。すると酸素が届かなくなり、筋肉が「ゆるむ」ために必要なエネルギー(ATP)を作れなくなります(※2)。
以前の記事でお伝えした**「ホースを踏んでいる状態」**が、まさにここで起きています。当院の三本柱の一つである「血流障害(組織の酸欠)」と、トリガーポイントの形成メカニズムは、科学的に同じ悪循環でつながっているのです。
→ 関連記事:[腰痛が治らない原因は「腰」でも「骨」でもなく「血の巡り」だった]
この悪循環をまとめると、こうなります。 蛇口が漏れる(アセチルコリンの過剰放出)→ 筋肉が縮みっぱなし(収縮結節の形成)→ 血管が潰れる(微小循環・血流の障害)→ 酸素が届かない(低酸素状態)→ ゆるむためのエネルギーが作れない(ATP枯渇)→ さらに縮みが固定される → 痛み物質が溜まり、痛覚センサーが過敏になる → ①に戻る……
一度このループに入ると、自然には抜け出しにくい。これがトリガーポイントが「放っておいても治りにくい」理由であり、当院が重視する**「負のループを断ち切る」**アプローチの科学的根拠です。
トリガーポイントに痛み物質が溜まる科学的証拠
【結論】 活動性トリガーポイントの部位では、pH4.2という強酸性環境のもと、P物質やCGRPなどの痛み関連物質が正常組織の数倍〜数十倍も蓄積していることが、精密な測定技術で証明されています。
「本当にトリガーポイントの場所に痛み物質が溜まっているの?」 この素朴な疑問に、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のJay Shah博士らが明確な答えを出しました(※3)。 彼らは「マイクロダイアリシス(微小透析法)」という技術を使い、活動性トリガーポイントの部位の化学物質を採取しました。
結果は衝撃的でした。活動性トリガーポイントの部位では——
pH(酸性度)が4.2程度にまで低下。 正常な筋肉(pH約7.4)よりもはるかに酸性に傾いており、この強い酸性環境そのものが痛覚センサー(ASIC受容体)を直接刺激します。
P物質(サブスタンスP)が著しく上昇。 痛みの信号を伝達し、末梢の神経を過敏にする物質です。
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)が著しく上昇。 アセチルコリンの受容体を増やして、悪循環を化学的に加速させる物質です。
ブラジキニンや炎症性サイトカインも上昇。 局所の炎症を維持し、やがて脊髄や脳にまで感作(過敏化)を広げていきます。
以前の記事で「痛み物質がその場に溜まり続ける」「ゴミ回収トラック(血液)が来てくれない」とお伝えした状態が、まさにこの研究で科学的に裏づけられたのです。

腰痛につながるトリガーポイントができやすい人の3つの特徴
【結論】 急激な筋肉への負荷、長時間の同じ姿勢、そして心理的ストレス——この3つがトリガーポイント形成の三大リスク因子です。久留米でデスクワークや立ち仕事をしている方は特に注意が必要です。
① 不慣れな重い動作(離心性収縮) 引っ越しの手伝い、庭の草むしりなど。普段使っていない筋肉に急に大きな力がかかると、筋線維に微小な損傷が起き、カルシウムが大量に漏れ出します。これが酸欠の引き金になります(※1)。
② 長時間のデスクワークや立ち仕事——「シンデレラ仮説」 低い負荷でも長時間休みなく使い続けることで、特定の筋線維だけが疲弊して酸欠に陥ることがわかっています。童話のシンデレラのように、筋肉の中の「一番働き者の線維」が休息なしに酷使され続け、エネルギー切れを起こすのです(※1)。1日何時間もパソコンに向かう方、レジに立ちっぱなしの方——まさに久留米で日常的にお会いする患者さんのライフスタイルそのものです。
③ 心理社会的ストレス 不安やストレスは、交感神経系を介してアセチルコリンの放出を修飾し、トリガーポイントの過敏性を増大させることが示されています(※2)。
なぜ「腰が痛い」のに原因が腰以外にあるのか——関連痛のメカニズムをわかりやすく解説
【結論】 異なる場所からの痛み信号が脊髄の同じニューロンに「合流」し、脳が痛みの出どころを間違えて解釈する——この「投影エラー」が関連痛の正体です。

トリガーポイントの最大の厄介さは、「痛い場所」と「原因の場所」がズレていることです。 お尻のしこりが腰に痛みを送る。ふくらはぎのしこりが腰に痛みを送る。脇腹のしこりが仙腸関節あたりに痛みを送る。なぜそんなことが起きるのでしょうか?
この謎を解くカギが、Ruch(1961)が提唱した**「収束投射説」**と呼ばれる神経学的な理論です(※4)。やや難しい名前ですが、仕組みはシンプルです。
①「信号の合流」が脊髄で起きている 体のさまざまな場所——深部の筋肉、皮膚、内臓、関節——からの痛み信号は、脊髄にある「中継地点」のニューロン(二次神経細胞)に送られます。ここで重要なのは、異なる場所からの信号が、同じ一つのニューロンに合流(収束)しているということ。駅で例えるなら、「お尻の筋肉発」の電車と「腰の皮膚発」の電車が、同じホームに到着するようなものです。
② 脳が「どの電車に乗ってきたか」を間違える 脊髄のニューロンが脳に信号を送るとき、脳は「この信号はどこから来たのか?」を判断しなければなりません。しかし、ここで**投影エラー(誤った解釈)**が起きます。脳は、日常的に信号が多く届く「馴染みの場所」——たとえば皮膚や腰の表面——からの痛みだと思い込んでしまうのです。
本当はお尻の奥深くの筋肉が「痛い!」と叫んでいるのに、脳は「腰が痛いんだな」と解釈してしまう。これが、関連痛(referred pain)の正体です。 心臓発作のときに左肩が痛くなるのも同じ原理です。そしてこれは、当院がお伝えしてきた**「痛い場所は被害者、犯人は別にいる」**という原則と完全に一致しています。
だからこそ、「痛い場所(腰)」をいくら揉んでも効果は一時的です。本当の発信源(トリガーポイント)が残っている限り、脳への痛み信号は送り続けられてしまうのです。
→ 関連記事:[腰痛の原因は腰にはない!を徹底解説]
腰痛を引き起こすトリガーポイントの原因筋一覧——臨床で多い「犯人筋」まとめ
【結論】 腰痛患者の約83%にトリガーポイントが存在するという系統的レビューがあります(※5)。ただしこの数値は対象集団や評価方法により変動し得るため、あくまで「目安」として捉えてください。ここでは、久留米での臨床で特に頻繁に遭遇する犯人筋と、それぞれの関連痛パターンをご紹介します。
腰痛を引き起こすトリガーポイントの原因筋一覧——臨床で多い「犯人筋」まとめ
腰痛のトリガーポイント犯人①
腰方形筋——「腰痛のジョーカー」と呼ばれる理由 場所: 腰の両脇、肋骨の一番下と骨盤の上端をつなぐ筋肉
痛みの飛び方: 腸骨稜(骨盤の上端のライン)に沿った痛み、仙腸関節あたりの痛み、臀部への深い痛み、鼠径部(足の付け根)への痛み。
こんな症状に化けます: 「仙腸関節が痛い」と感じているその痛み、実は腰方形筋からの関連痛かもしれません。直立姿勢での激痛、寝返りが打てない、咳やくしゃみで腰に響くのが典型的なサインです。体の深い位置にあるため通常のマッサージでは届きにくく、左右の脚の長さに微妙な差を生み出すため「骨盤が歪んでいる」と誤解されることもあります(※1)。
腰痛のトリガーポイント犯人②
中殿筋——臨床で最も多い「仙腸関節痛のなりすまし犯」 場所: お尻の横側にある扇形の筋肉(骨盤のスタビライザー)
痛みの飛び方: 仙骨のあたり、臀部全体、そしてベルトライン(骨盤に沿った腰のライン)に沿った広範囲の痛み(※1)。
こんな症状に化けます: 歩いているときに腰や骨盤のあたりが痛む。痛い側を下にして横向きに寝ると悪化する。椅子から立ち上がるとき、お尻から腰にかけてズキッとする。 「仙腸関節が痛い」と訴える方の中殿筋を触診すると、非常に強いトリガーポイントが見つかることが珍しくありません。仙腸関節の機能障害と中殿筋のトリガーポイントは同時に存在しているケースがほとんどです。
→ 関連記事:[仙腸関節が腰痛の「隠れた主犯」になるとき]
なぜ中殿筋にトリガーポイントができるのか? 当院がお伝えしてきた**「サボり筋とガンバリ筋」**の構図がここにも当てはまります。腹横筋(天然のコルセット)がサボると骨盤が不安定になり、中殿筋が代わりに骨盤を支えようと過剰に働く。休みなく働かされた中殿筋がエネルギー危機に陥り、トリガーポイントが形成される——この連鎖が、臨床で繰り返し確認されるパターンです。
→ 関連記事:[マッサージしても戻る「本当の原因」はお腹の筋肉がサボっていること]
腰痛のトリガーポイント犯人③
ヒラメ筋——「まさか、ふくらはぎが腰痛の原因?」 場所: ふくらはぎの深層にある、立位や歩行を支える筋肉
こんな症状に化けます: 「腰が重だるい」「仙腸関節の奥のほうが痛む」という症状なのに、腰を揉んでも仙腸関節を調整してもスッキリしない。そんなときにふくらはぎのヒラメ筋を触診するとガチガチに固まったトリガーポイントが見つかり、そこを処置すると腰の痛みが軽減する——当院の臨床で驚くほど多いケースです。
Travell & Simonsの『トリガーポイント・マニュアル』にはヒラメ筋のトリガーポイントが仙腸関節領域に関連痛を飛ばしうることが記載されています(※1)。ただし、ヒラメ筋から腰部への関連痛については大規模な臨床研究による検証はまだ十分ではなく、主にTravellの関連痛マップと臨床報告に基づく知見です。この点を踏まえつつ、当院の日常臨床では「ふくらはぎを見落とさない」ことが腰痛改善の重要なカギとなっています。
立ち仕事でふくらはぎの血流が悪い方は要注意です。ヒラメ筋は「第二の心臓」とも呼ばれ、立っている間じゅう休みなく働いているため、まさにシンデレラ仮説が当てはまります。
→ 関連記事:[腰痛の原因は腰にはない!を徹底解説]
腰痛のトリガーポイント犯人④
腸腰筋——デスクワーカーの腰が「固まる」原因 場所: 腰椎の前面から股関節の内側をつなぐ、体の最深部にある筋肉
痛みの飛び方: 腰椎に沿った縦方向の痛み(背骨のすぐ脇)、そして大腿前面(太ももの前側)への痛み(※1)。
こんな症状に化けます: 長時間座った後に立ち上がろうとすると腰が伸びない。「腰が曲がったまま固まる」感覚がある。腸腰筋の拘縮は反り腰の直接原因となり、立ち仕事の腰痛を悪化させる隠れた加害者です。お腹側からアプローチしなければ触れないため、多くの治療で見落とされます。
→ 関連記事:[立ち仕事の腰痛、原因は「骨盤の貧乏ゆすり」の欠如にあった]
腰痛のトリガーポイント犯人⑤
脊柱起立筋——「ガンバリ筋」の代表が腹痛や胸痛に化けるとき 場所: 背骨の両脇を縦に走る、背中を支える大きな筋肉群
痛みの飛び方: 臀部への痛みだけでなく、腹部の前面や胸部の前面にまで関連痛を飛ばすことがあります(※1)。
こんな症状に化けます: 「胃のあたりが痛い」と内科を受診したが異常なしと言われた場合、実は背中のトリガーポイントからの関連痛だった、というケースが報告されています。※もちろん内臓疾患の可能性もあるため、まず医療機関での検査を最優先してください。
→ 関連記事:[マッサージしても戻る「本当の原因」はお腹の筋肉がサボっていること]
トリガーポイントは画像検査で見つかるのか?——MRIに写らない腰痛の診断最前線
【結論】 MRIやレントゲンにはトリガーポイントは写りません。しかし、「超音波エラストグラフィ」という技術で、トリガーポイントの硬さが正常組織の約2倍であることが客観的に確認されています。
トリガーポイントの診断は、伝統的に**触診(手で触って探す技術)**で行われてきました。熟練した施術者が筋肉を触れば、緊張帯の中の結節、圧痛、そして関連痛の再現を確認できます。当院でも初回検査で30〜40分かけて全身を丁寧に触診するのは、このためです。
近年注目されているのが**「超音波エラストグラフィ」という画像技術です(※7)。これは超音波を使って組織の「硬さ」を数値化する技術で、研究ではトリガーポイント部位の硬度が12.3〜14.8 kPaであるのに対し、正常な筋組織は5.0〜8.0 kPa程度——つまり約2倍の硬さ**があることが確認されています(※7)。 MRIに写らなくても、トリガーポイントは確かにそこに存在している。科学がそれを証明しつつあるのです。
→ 関連記事:[関節機能障害——画像診断の死角に存在する「痛みの正体」の科学的考察]
臨床報告:久留米の整体ポノで見つけた「痛みの真犯人」
※以下は当院における個別の臨床経過であり、効果には個人差があります。すべての方に同様の結果を保証するものではありません。医療機関での診断や治療を否定するものでもありません。
臨床報告① 腰方形筋と中殿筋のトリガーポイントが主犯だった60代男性
Kさん(60代男性・久留米市在住・元営業職、現在は孫の世話が生きがい)
お悩み: 2年前から右腰〜右骨盤のあたりに慢性的な重だるい痛み。整形外科のMRIで「軽度の腰椎変性はあるが年齢相応」と言われ、整骨院にも1年半通ったが翌日には元に戻る。「ゆめタウンで孫と一緒に買い物に行きたいのに、30分も歩けない」と来院されました。
当院での検査結果: 痛いのは右の仙腸関節あたりでしたが、主犯は別の場所にいました。 ✓ 右腰方形筋と右中殿筋に非常に強いトリガーポイント。ここを押すと「それです! いつもの痛みと全く同じです!」と即座に反応。 ✓ **腹横筋の著しい機能低下(サボり筋)**と、右仙腸関節の機能障害が同時に存在していました。
経過: 仙腸関節の「1mmの遊び」を復元し、トリガーポイントへの血流を改善。さらにサボっていた腹横筋の再起動トレーニングを導入した結果、5回目の施術後には「ゆめタウンで1時間歩けた。孫が喜んで手を引っ張ってくれた」と笑顔でお話しくださいました。「痛みの犯人は腰じゃなかったんですね」と驚かれていました。
臨床報告② ヒラメ筋と中殿筋が腰痛の主因だった40代女性
Sさん(40代女性・久留米市在住・事務職、1日8時間以上のデスクワーク)
お悩み: 1年半前から左腰のだるさと、左のお尻から太もも外側にかけての重い痛み。MRIでは「椎間板に軽い膨隆があるが神経圧迫はなし」。椅子から立ち上がるたびに腰が固まる状態でした。
当院での検査結果: ✓ 左中殿筋の強いトリガーポイントが太もも外側へ痛みを飛ばし、さらに左ヒラメ筋(ふくらはぎ)のガチガチなトリガーポイントが仙腸関節の奥へ痛みを飛ばしていました。 ✓ デスクワークによる左腸腰筋の拘縮と胸椎の硬さが、腰に負担を集中させていました。
経過: ふくらはぎとお尻の血流改善、腸腰筋の拘縮解放、胸椎の可動性回復を行った結果、4回目には「お尻から太ももの痛みがほとんど消えた」と劇的に変化。6回目には「1年半ぶりに天神まで買い物に行けた」と喜んでいただけました。
整体ポノのトリガーポイントへのアプローチ——
「痛い場所」ではなく「痛みの発信源」を探す 【結論】 トリガーポイントを根本から解消するには、しこりを無理に押しつぶすのではなく、「なぜそこにトリガーポイントができたのか」という原因——関節の動き・血流・神経のストレス——を同時に取り除く必要があります。
この記事で解説してきたように、腰痛の「犯人」は腰にいないことが多い。お尻の中殿筋、脇腹の腰方形筋、ふくらはぎのヒラメ筋、お腹の奥の腸腰筋——こうした「隠れた犯人筋」は、腰を揉むだけの施術では絶対に見つかりません。
当院では、初回の検査で以下を行います。
全身のトリガーポイント触診(30〜40分): 関連痛マップに基づき、腰だけでなく骨盤周囲、股関節、腹部(腸腰筋)、ふくらはぎ(ヒラメ筋)まで、しこりの有無を一つずつ確認します。
関連痛の再現テスト: 見つかったしこりを押して、「それです! いつもの腰痛と同じ感じです!」——この反応が得られたとき、犯人が特定されたサインです。
三本柱(血流・関節・神経)の複合評価: 関節の動きが悪いから筋肉に過剰な負担がかかり(関節機能障害)、負担がかかった筋肉が固まるから血管が潰れて酸欠になり(血流障害)、酸欠になった組織に神経が癒着して引っ張られる(神経ストレス)。この三重の悪循環がトリガーポイントを生み、維持しているのです。
だからこそ当院では、しこりを力任せに押しつぶすような施術は絶対にしません。 関節の「1mmの遊び」を取り戻し、神経のスムーズな滑りを回復させることで、結果的にトリガーポイントに新鮮な血液を送り込み、酸欠を根本から解消していく——これが三本柱のアプローチです。
→ 関連記事:[神経を施術すると体がよくなる理由|整体ポノの三位一体アプローチを科学で解説]
今日からできる安全なセルフケア——
腹横筋(サボり筋)を目覚めさせる「ドローイン呼吸」 【結論】 痛いしこりを無理に押し潰すのは、かえって筋肉を硬くする危険があるため当院では推奨していません。まずは「サボり筋(腹横筋)」を優しく目覚めさせる呼吸法から始めましょう。
テレビや動画サイトなどで「お尻にテニスボールを当ててゴリゴリほぐす」といったセルフケアをよく見かけます。 しかし、当院ではこの方法を推奨していません。
なぜなら、トリガーポイントができている筋肉はすでに「酸欠状態」で悲鳴を上げており、そこにテニスボールで強い圧力をかけると、脳が「攻撃されている!」と勘違いして**防御反応(伸張反射)**を起こし、かえって筋肉をガチガチに固めてしまうリスクが高いからです。さらに、すでに微小損傷を受けている筋線維に強い圧力が加わることで、筋組織そのものを傷つけてしまう危険性もあります。
無理に筋肉を潰すのではなく、**「サボっているお腹の奥の筋肉」**を目覚めさせて、頑張りすぎている腰やお尻の筋肉を休ませてあげるのが、もっとも安全で確実なセルフケアです。
やり方: ① 仰向けに寝て、両膝を立てます(腰への負担を減らすため)。 ② 両手を下腹部(おへその少し下)に軽く当てます。 ③ 鼻から大きく息を吸い込みながら、お腹を風船のように膨らませます。 ④ 口から「ふーっ」と細く長く息を吐きながら、お腹を背中側に向かってペタンコに凹ませていきます。 ⑤ 息を吐き切り、お腹が一番凹んだ状態(お腹の奥が硬くなる感覚)をキープしたまま、浅い呼吸で3〜5秒キープします。 ⑥ これを1日5回〜10回ほど、無理のない範囲で行います。
当院の患者さんの多くは、3日目くらいから「朝起き上がるときの腰の重さが、少し軽くなっている」と変化を感じ始めます。
この呼吸により、天然のコルセットである「腹横筋」が働き始め、腰や骨盤周りの筋肉の負担がスッと軽くなっていきます。もしこれを2週間続けても腰痛が変わらない場合は、すでに自己流では解けない「関節のサビ」や「神経の癒着」が起きている可能性が高いため、プロの評価をお勧めします。
→ 関連記事:[マッサージしても戻る「本当の原因」はお腹の筋肉がサボっていること](ドローインの詳しい解説はこちら)
セルフチェック:あなたの腰痛にトリガーポイントが隠れている7つのサイン
以下の項目に当てはまるものが多いほど、トリガーポイントが関与している可能性が高まります。※あくまで目安です。正確な評価は医療機関または専門家にご相談ください。
□ MRIやレントゲンで「異常なし」と言われたのに腰痛が続いている
□ 痛みが腰だけでなく、お尻・太もも・鼠径部など広い範囲に広がる
□ 腰を揉んでもらっても一時的にしか楽にならない
□ 長時間同じ姿勢を続けると痛みが強くなる
□ お尻の横や脇腹、ふくらはぎを押すと強い痛みがあり、それがいつもの腰痛に似ている
□ デスクワーク後に腰が伸びない・固まる感覚がある
□ 朝起きた時や寝返りの時に痛みが強い
4つ以上当てはまる方は、トリガーポイントが関与している可能性があります。
重要な注意点: 以下の症状がある場合は、トリガーポイント以外の重篤な疾患の可能性があります。整体ではなく、すぐに医療機関を受診してください。 ・足に力が入らない ・排尿・排便に異常がある ・安静にしていても激痛が続く ・発熱を伴う腰痛 ・体重が急激に減少している
腰痛とトリガーポイントに関するよくある質問
- Qトリガーポイントの施術は痛いですか?
- A
A当院では必要最小限の力で施術を行います。トリガーポイントを正確に押さえると「ズーン」と響くような感覚が出ることがありますが、これは「いつもの痛み」の再現であり、体にダメージを与える痛みではありません。「痛気持ちいい」と表現される方が多いです。過度に強い刺激は筋肉を固めてしまうため、当院では避けています。基本的には痛くすることはありません
- QQ. 病院で「ヘルニア」「狭窄症」と診断されましたが、トリガーポイントが原因の可能性もありますか?
- A
A. 構造の異常(ヘルニアや狭窄症)が痛みの直接原因であるケースは、もちろんあります。特に足の筋力低下や排尿障害がある場合は、構造の問題として医療機関での治療が必要です。しかし、医学研究ではMRIでヘルニアが見つかっても痛みのない人が60%以上いることも報告されています。構造の異常がありつつ、実際の痛みの主因はトリガーポイントなどの「機能の異常」だった、というケースは臨床で非常に多く見られます。医療機関の診断・治療は重要であり、それを否定するものではありません。治療しても改善しない場合に「機能」の評価を加えることが次のステップになります。
- Qトリガーポイント注射と整体の違いは何ですか?
- A
トリガーポイント注射(局所麻酔薬やドライニードリング)を行う整形外科やペインクリニックも増えており、有効な選択肢です。注射は痛みの「化学的なブロック」に優れ、当院の徒手療法は関節の動き・血流・神経の滑りという「なぜトリガーポイントができたか」への「根本アプローチ」に強みがあります。この二つは対立するものではなく、両方を併用されている方もいらっしゃいます。
- Q一度消えた腰痛のトリガーポイントは再発しますか?
- A
A. 同じ生活習慣(長時間のデスクワーク、運動不足、ストレスなど)が続けば再発の可能性はあります。だからこそ当院では、「なぜそこにトリガーポイントができたのか」という根本原因——サボり筋の再教育、関節機能の回復、姿勢・動作パターンの改善——にまでアプローチします。施術で「負のループ」を断ち切った後、ご自宅での安全なセルフケア(上で紹介したドローイン呼吸など)で「正のループ」を維持していくことが再発防止の鍵です。
まとめ——腰痛とトリガーポイント・関連痛の関係 長い記事をここまでお読みいただき、ありがとうございます。

① トリガーポイントは「筋肉の酸欠」で生まれる。 アセチルコリンの漏出、収縮の固定化、血流障害、ATP枯渇という悪循環が「しこり」の正体です。
② 離れた場所の痛み(関連痛)は「脳の投影エラー」で起きる。 異なる場所からの信号が脊髄で合流し、脳が発信源を間違えるのが原因です。
③ 腰痛の犯人は腰にいないことが多い。 中殿筋、腰方形筋、ヒラメ筋、腸腰筋、脊柱起立筋が仙腸関節痛・腰痛・鼠径部痛などに化けています。
④ 画像には写らないが、トリガーポイントは確かに存在する。 Shah博士の生化学的研究と超音波エラストグラフィが科学的に証明しています。
⑤ しこりを押し潰すだけでは不十分で危険。 関節・血流・神経の三本柱から根本原因を取り除くことが大切です。
「痛いのは腰なのに、原因が腰以外にある」——最初は不思議に聞こえるかもしれません。しかし、トリガーポイントと関連痛の科学は、なぜあなたの腰痛が「どこに行っても良くならなかったのか」に明確な答えを示してくれます。
犯人がわかれば、対処できます。
「このまま歩けなくなったらどうしよう」「家族に迷惑をかけたくない」——そんな深い不安を、もうあなた一人で抱え込む必要はありません。 整形外科の検査で大きな病気がないと確認されたのなら、次は「機能(動きと血流)」を修復する番です。当院は医療の代わりではなく、医療と役割を分担するパートナーとして、画像に写らない痛みの原因を全力で探し出します。
なぜ私が「一人治療院」にこだわるのか——それは、あなたの体の「わずかな変化」を誰よりも正確に把握し続けたいからです。日によって違う中殿筋の硬さ、ヒラメ筋のトリガーポイントが消えていく過程、恐怖心が和らいでいく瞬間のタイミング。こうした繊細な変化は、毎回担当が変わる環境では決して見抜けません。あなたの痛みの物語を、最初から最後まで一人の施術者が責任を持って受け止める——これが当院の最大の強みです。
**「自分の腰痛もトリガーポイントが関係しているのかな?」**と気になった方は、まずはLINEでお気軽にご相談ください。「右腰が1年前から痛い」「MRIでは異常なしと言われた」——こんな2〜3行で十分です。私が直接お返事し、あなたの症状について一緒に整理するところから始められます。
腰痛専門整体院 整体ポノ(福岡県久留米市東櫛原町2871-15/駐車場有/9:00〜21:00 日祝休) LINE・電話予約受付中(080-8581-9323) どこに行っても治らなかった方は、最後にご相談ください。
※ご相談のみでも大歓迎です。無理な勧誘は一切行っていません。 ※本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療行為ではありません。当院は医療機関ではなく、医療行為は行いません。症状が強い場合や急激に悪化する場合は、医療機関へのご受診をお勧めします。
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参考文献 ※1 Donnelly JM, et al. (2019). Travell, Simons & Simons’ Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual, 3rd Edition. Wolters Kluwer. https://osteopathicmedicine.lwwhealthlibrary.com/book.aspx?bookid=3060
※2 Gerwin R, Dommerholt J, Shah JP. (2004). An expansion of Simons’ integrated hypothesis of trigger point formation. Current Pain and Headache Reports, 8(6):468-75. https://www.semanticscholar.org/paper/An-expansion-of-Simons%E2%80%99-integrated-hypothesis-of-Gerwin-Dommerholt/f4c8d53bea9d00a024a5aed4144188e26db49cc8
※3 Shah JP, et al. (2008). Biochemicals Associated With Pain and Inflammation are Elevated in Sites Near to and Remote From Active Myofascial Trigger Points. Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, 89(1):16-23. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18164325/
※4 Ruch TC. (1961). Pathophysiology of pain. In: Neurophysiology. Saunders, pp. 350-368. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5283779/
※5 Giamberardino MA, et al. (2025). Prevalence of Myofascial Trigger Points in Patients with Radiating and Non-Radiating Low Back Pain: A Systematic Review. Biomedicines, 13(6):1453. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40564172/
※6 Rathbone AT, et al. (2017). Reliability of manual palpation of myofascial trigger points: a systematic review and meta-analysis. Journal of Bodywork and Movement Therapies. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23807217/
※7 Jafari M, et al. (2021). Objective characterization of myofascial pain syndrome and trigger points using imaging methods: A systematic review. PMC8448923. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8448923/
※8 厚生労働省 (2012). 腰痛診療ガイドライン(日本整形外科学会・日本腰痛学会監修). https://www.mhlw.go.jp/content/000350363.pdf


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