なぜ痛みは消えないのか?「神経の酸欠」と「センサーの誤作動」を生理学から解説|久留米の整体ポノ

理論編

「骨に異常なし」と言われたのに、なぜ痛いのか

久留米市内の整形外科でレントゲンやMRIを撮り、「異常なし」と診断されたにもかかわらず、足の痺れや痛みに苦しみ続けている——。

当院にはそういった方が毎月たくさんご来院されます。

その答えはシンプルです。骨(構造)に問題がないのだから、痛みの原因は神経と感覚センサー(機能)のシステムエラーにある、ということです。

整形外科の検査は「骨・椎間板・靭帯などの構造的な損傷」を診るためのものです。神経が慢性的に引き延ばされて酸欠になっている状態、身体のセンサーが誤作動を起こしている状態は、画像には写りません。

この記事では、「なぜ痛みが続くのか」「なぜマッサージをしてもぶり返すのか」という疑問に、解剖生理学の視点からお答えします。


1|神経が「捕まる」4つの場所

健康な神経は、手足を動かすたびに組織の中をスルスルと滑ります(これをスライダー機能といいます)。

しかし坐骨神経の通り道には、筋肉が固まると神経が引っかかってしまう**「関所」が4か所**あります。

▲坐骨神経の通り道にある4つの絞扼ポイント(関所)

① 梨状筋(りじょうきん)——お尻の深部

坐骨神経はお尻の奥にある梨状筋というトンネルを通っています。この筋肉が固くなると、坐骨神経を万力のように締め付けます。長時間座っていると痛みが増す方はここが原因のことが多いです。

② 膝窩筋(しつかきん)——膝の裏

膝の裏側で神経の滑りが悪くなり、膝を伸ばすたびに引っかかりが生じます。「膝裏がつっぱる」という感覚の正体はこれです。

③ 腓骨管(ひこつかん)——すねの外側

すね外側にある骨と筋肉の狭い隙間で神経が挟まります。足首を動かすたびに摩擦が起き、すねのだるさや足甲の痺れとして現れます。

④ 足根管(そっこんかん)——足首の内側

足首内側にある骨と靭帯のトンネルで神経が逃げ場を失います。「足の裏がジンジンする」という症状に直結するポイントです。


2|最大の敵は「圧迫」より「牽引(引き延ばし)」

ここが多くの方が見落としているポイントです。

神経は「潰される(圧迫)」よりも、「引き延ばされる(牽引)」ことのほうが数倍ダメージを受けます。

上の4か所で捕まった神経は、歩くたびにゴムホースのように無理やり引き伸ばされます。このストレスが蓄積すると、神経の内部を走る微細な血管——Vasa Nervorum(神経栄養血管)——が潰れ、神経そのものが**「酸欠(虚血)」**に陥ります。

▲左:正常な神経、右:牽引により酸欠になった神経

実際に触診すると、痛みのある側の神経は健康な側と比べて明らかに太く、硬いロープのように変性しています。これが「神経の酸欠」が慢性化したサインです。


3|マッサージがぶり返す理由——センサーの誤作動

神経が酸欠になると、筋肉の中に埋め込まれている「精密センサー」も狂い始めます。これがいくら揉んでも翌日には元に戻ってしまう根本原因です。

筋紡錘(きんぼうすい)——長さのセンサー

筋肉の中には「筋肉が伸ばされすぎていないか」を常に監視している筋紡錘というセンサーがあります。

神経の伝達が乱れると、このセンサーが過敏になります。「少し動いただけでも筋肉が切れそうだ!」という誤った信号が脳へ送られ、脊髄が反射的に「縮め!」という命令を出します(伸張反射)。

その結果、守ろうとして筋肉がギュッと縮こまり続ける——これが慢性的なコリの正体です。

強いマッサージが逆効果な理由はここにあります。強い力で押すことがこの伸張反射をさらに誘発し、筋肉をより固めてしまうのです。「揉み返し」はその典型的な反応です。

腱紡錘(けんぼうすい)・ゴルジ腱器官——張力のセンサー

筋肉と骨のつなぎ目には、筋肉の張力を感知して「緩めるスイッチ」を入れるゴルジ腱器官があります。

ここが神経の酸欠により機能不全に陥ると、緩めるスイッチが入らなくなります。関節が常にロックされたような状態になり、「ストレッチをしても柔らかくならない」という状態が続きます。


4|当院のアプローチ①——反射を「味方」にして緩める

当院では、固まった筋肉を力任せにこじ開けることはしません。身体に元来備わっている「反射システム」を利用して、生理学的に筋肉と神経を解放します。

相反抑制(そうはんよくせい)の応用

筋肉には**「主動筋が縮むとき、反対側の拮抗筋は必ず緩む」**という絶対的なルールがあります(これを相反抑制といいます)。

わかりやすい例を挙げると、力こぶ(上腕二頭筋)を作るとき、二の腕の裏側(上腕三頭筋)は必ず緩みます。これは脳と脊髄の回路が自動的に行うことで、意識してもできません。

当院では、痛んでいる筋肉を直接押すのではなく、その反対の動きを誘導することで相反抑制を引き起こし、患部を「自動的に」緩ませます。これが、触れていないのに患部が楽になる理由の一つです。


5|当院のアプローチ②——「反対側」を動かす脳科学的な理由

右足が痛いとき、あえて**「痛くない左側」を動かす。**

これは相反抑制だけでなく、脳科学的にも根拠のある方法です。

痛みが長引くと、脳の運動指令を司る***皮質脊髄路(ひしつせきずいろ)***は患部を守ろうとして「過剰な警戒アラート」を出し続けます。これが患部の神経をさらに過敏にさせる悪循環です。

ここで、痛みのない側を脱力した状態でゆっくり動かすと、脳は「(反対側が)安全に滑らかに動いている」という情報を受け取ります。すると、左右のバランスを取ろうとする脳内の抑制システムが作動し、痛みのある側の過剰な興奮性信号が自然に鎮まります。

▲反対側からの入力により、脳の興奮が鎮まる様子

患部には指一本触れていないのに、その場で筋力が戻り、痺れが軽くなる——これがこの脳内抑制システムが正常に作動した証拠です。


6|当院のアプローチ③——「四隅(指先・足先)」からのリセット

仕上げに行うのが、手足の指先——すなわち「神経の末端」へのアプローチです。

パチニ小体・ルフィニ小体へのアクセス

指先や関節の周囲には、2種類の高性能センサーが密集しています。

  • **パチニ小体:**微細な振動や圧の変化を感知する、皮膚最高感度のセンサー
  • **ルフィニ小体:**皮膚や関節の「伸ばされ具合」を感知するセンサー

これらに「赤ちゃんの肌を撫でるような優しさ」で触れると(タッチ&タップ)、センサーが反応し、脊髄を通じて**全身の痛みを抑えるシステム(疼痛抑制)**が作動します。

強い刺激は逆効果です。パチニ小体が心地よく反応する微細な入力こそが、過敏になった神経系全体をリセットする鍵となります。


7|3つのアプローチが「三位一体」である理由

「梨状筋が硬いからお尻を揉む」「ヘルニアだから手術する」——こうした「部品交換」的な発想では、神経とセンサーが複雑に絡み合った誤作動は解決しません。

当院が提供するのは、以下の3つを同時に解決するアプローチです。

アプローチ対象目的
関節・反射相反抑制・伸張反射
血流・酸欠Vasa Nervorum(神経栄養血管)
脳・センサー皮質脊髄路・パチニ小体

この3つを一度のセッションの中で段階的に行うことで、「揉んでも翌日元に戻る」というサイクルから抜け出すことができます。


久留米で「どこに行っても治らなかった」という方へ

画像に写らない痛みには、画像では診断できない原因があります。

坐骨神経痛・足の痺れ・慢性的なコリ——それらが長引いているとしたら、神経の酸欠とセンサーの誤作動という「機能のエラー」にアプローチできていない可能性があります。

あなたの体には、まだ使われていない**「治るための反射システム」**が眠っています。

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<small>※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療行為ではありません。症状が重い場合は医療機関への受診をおすすめします。</small>

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