画像のヘルニアと、いまの痛みは、
別かもしれません
「手術しかない」「年だから仕方ない」と言われ、半分諦めていませんか。
その思い込みを、見直す理由があります。
整形外科でMRIの画像を見せられ、白く飛び出した部分を指さされて、こう言われた方は多いと思います。
「ここが神経を圧迫しています。ヘルニアですね」。
そして、こうも言われたかもしれません。「年齢的なものもあるし、うまく付き合っていくしかないですね」と。
その瞬間、頭が真っ白になり、「もう治らないのか」と半分諦めてしまう。当院に来られる方の、本当に多くがそうです。
でも、当院に初めて来られた方に、検査を終えてから、私はこうお伝えすることがあります。
「画像に写っているそのヘルニアと、いま出ている痛みは、別のものかもしれませんよ」と。
たいてい、みなさん驚かれます。「え、ヘルニアが原因じゃないんですか?」と。
誤解しないでいただきたいのですが、ヘルニアが写っていることも、お医者さんの診断も、間違いではありません。レントゲンやMRIは、重大な病気を見つけるための、欠かせない大切な検査です。
ただ――「ヘルニアがある」ことと、「だから一生この痛みと付き合うしかない」ことは、イコールではありません。そう考える理由が、医学の世界に、ちゃんとあるのです。
この後、その理由をお話しします。
痛みのない人にも、
ヘルニアはたくさんあります
国際腰痛学会 最高賞論文より
腰痛のまったくない健康な人を調べると、その7割以上にヘルニアが見つかったという研究があります(1995年・国際腰痛学会ボルボ賞論文/Boos 1995)。「画像にヘルニアが写っている」ことは、「それが今の痛みの原因だ」という証拠には、必ずしもならないのです。
少し意外な研究をご紹介します。
腰痛のない、まったく健康な人たちのMRIを撮った、世界的に有名な研究があります。1995年に国際腰痛学会でボルボ賞という最高の賞を受けた研究です。
その結果、痛みもしびれもない健康な人の、なんと7割以上にヘルニアが見つかりました。
考えてみてください。ヘルニアがあるのに、まったく痛くない人が、これほど多くいる。
ということは――画像にヘルニアが写っていても、それが今あなたを苦しめている痛みの「犯人」とは限らない、ということです。
実際、神経そのものを軽く圧迫しても、出るのはしびれだけで、強い痛みは起きにくいことが知られています。
つまり、ヘルニアが神経を「押している」こと自体は、あの激しい痛みの直接の原因ではないことが多いのです。
では、なぜ、あなたはこんなに痛いのでしょうか。
関連ブログ 画像と痛みのズレについて、もっと詳しく|MRIには写らない ボルボ賞論文解説 →痛みの正体は、
「炎症」という火事です
ヘルニアの本当の痛みは、飛び出した部分が神経を「押す」ことよりも、その周りで起きる「炎症」が神経を刺激することで生まれます。だから、ヘルニアの形が残っていても、炎症さえ鎮まれば、痛みは引いていきます。
椎間板の中身(髄核)は、生まれてから一度も血液に触れたことのない、いわば「隔離された組織」です。
これが外に飛び出すと、体の免疫が「見たことのない異物が来た」と判断し、そこに炎症を起こします。
この炎症こそが、痛みの本当の正体です。
飛び出したヘルニアが神経を物理的に押しているから痛いのではなく、その周りで燃えている「炎症の炎」が、敏感な神経を炙るから、あの激しい痛みやしびれが出るのです。
火事を思い浮かべてください。
やけどをするのは、燃えている物そのものに触れるからではなく、その周りに広がる「炎」と「熱」に炙られるからです。
ヘルニアも同じです。痛いのは、火元であるヘルニアの「形」のせいというより、その周りの「炎症の火事」のせいです。
だとすれば――火元(ヘルニアの形)がそのまま残っていても、火事(炎症)さえ鎮まれば、痛みは引いていく。これが、「ヘルニアがあっても痛みが和らぐ」ことが少なくない、大きな理由のひとつです。
なぜ、その火事は
長引いているのか
炎症の火事が何ヶ月も鎮まらないのには、背景があります。当院が「三本柱」と呼ぶ、血の巡り・関節の動き・神経の状態。この3つが、火事を消えにくくしているのです。
炎症は、本来なら時間とともに鎮まっていくものです。なのに、何ヶ月も痛みが引かない。それはなぜでしょうか。
火事が長引く最大の背景は、「血の巡り」です。
固まった筋肉が血管を押し潰すと、炎症を鎮めるはずの血液が現場に届きません。消火の水が来ないので、火事が居座り続けるのです。
これに、関節の動きの問題(背骨や骨盤の関節が固まり、負担が集中する)と、神経の問題(炎症が続いて神経が過敏になる)が重なります。当院ではこの「血の巡り・関節・神経」を三本柱と呼び、すべての腰痛に共通する原因と考えています。
そして、こうした三本柱の乱れは、多くの場合「猫背」や「骨盤が後ろに傾いた姿勢」となって、見た目にも現れます。
ヘルニアと診断された方の多くに、背中が丸まり骨盤が後ろに倒れた姿勢が見られます。この姿勢が血の巡りを悪くし、関節を固め、特定の椎間板に負担を集中させる。姿勢の崩れは、原因であり結果でもあるのです。だから当院では、見た目の姿勢を整えることと、内側の血流・関節・神経を整えることを、ひとつながりのものとして診ます。
当院の施術は、この三本柱を整えて、火事が自然に鎮まる環境をつくることに集中します。
三本柱のくわしい仕組みは、すべての腰痛に共通する当院の考え方の土台です|腰痛についての考え方 →「手術しかない」と
言われた方へ
手術を勧められるほど重いヘルニアの方を対象にした研究で、手術をせずに体を整えるケアを受けた人たちの多くが、手術を受けた人と変わらないくらい回復したと報告されています。世界の診療ガイドラインでも、まず保存的なケアを試すことが第一に勧められています。
「手術しかない」。そう言われると、もう道は一つしかないように感じます。
でも、こんな研究があります。
痛み止めや一般的なリハビリでは良くならず、「手術適応」と判断された重いヘルニアの患者さんを対象に、手術を受けるグループと、手術をせず体を整えるケアを受けるグループに分けて、1年後を比べました。
すると、両グループの回復に、大きな差は見られませんでした。手術をしなかった人たちの多くが、手術を受けた人と変わらないくらい良くなっていたのです。
もちろん、馬尾症候群(後述)のように、すぐ手術が必要なケースはあります。それを否定するつもりは一切ありません。手術は、つらい症状を早く確実に取り除く、大切な選択肢です。
ただ、手術は体にメスを入れる、大きな選択でもあります。
だからこそ――まず体を整えるケアを試して、それでも難しいときの選択肢として手術を考える。その「順番」が、世界の診療ガイドラインでも第一に勧められているのです。手術の前に、できることを試してみる。それは、医学的にも理にかなった、決して間違っていない選択です。
ヘルニアは、
やがて自然に消えていきます
保存的ケアでの自然縮小率 66.7%(Zhong 2017)
飛び出したヘルニアは、手術で取らなくても、体の免疫が異物として処理し、自然に小さくなることが多くあります。保存的なケアを受けた人の約3人に2人(66.7%)でヘルニアの自然な縮小が確認されています(Zhong 2017・メタアナリシス)。しかも「大きく飛び出したものほど消えやすい」という研究結果もあります。
ここまで「火事(炎症)を鎮める」話をしてきました。では、火元であるヘルニアそのものは、どうなるのでしょうか。
実は、飛び出したヘルニアは、手術で取り除かなくても、体が自分で片付けていくことが多いのです。
免疫細胞が、飛び出した部分を「異物」と見なして少しずつ食べ、掃除してくれる。研究では、保存的なケアを受けた人の約3人に2人で、ヘルニアが自然に縮んでいくことが確認されています。
しかも――ここが多くの方を驚かせる事実なのですが――「大きく飛び出したヘルニアほど、消えやすい」のです。
MRIで「こんなに大きい」と言われて絶望した方ほど、実はあなたの体の掃除部隊が、全力で片付けてくれる確率が高いかもしれません。
「ヘルニア=一生もの」という時代は、もう終わりつつあります。
関連ブログ 大きいヘルニアほど消えやすい仕組みや、タイプ別のくわしいデータ|椎間板ヘルニアは手術しないで治る? →ヘルニアが消えても、
痛みが残るなら
ヘルニアが画像上は良くなったのに、痛みだけが残る。その場合、痛みの本当の原因は、ヘルニアではなく「関節機能障害(関節の1ミリの遊びの消失)」かもしれません。これは免疫では片付かず、見分けて整える必要があります。
「ヘルニアが自然に消えるなら、待てば痛みも消えるはずでは?」
理屈ではそうです。でも、数ヶ月たってヘルニアが小さくなったのに、痛みだけが残る方が、当院にもよく来られます。
その正体の多くが、関節機能障害です。
ヘルニアと関節機能障害は、症状がとてもよく似ていて、しばしば重なって現れます。だから、いま感じている痛みの中に、ヘルニア由来のものと関節由来のものが、混ざっていることが多いのです。
ヘルニアは免疫が片付けてくれます。でも、関節の「1ミリの遊び」の消失は、免疫では治りません。
だから当院では、検査でこの2つを見分け、ヘルニアではなく関節が原因の痛みを、ていねいに整えていきます。「ヘルニアの手術をしたのに痛みが残る」方の多くも、この見落とされた関節の問題が関係していると、私たちは考えています。
なぜ、当院は
「検査」を重視するのか
同じ「ヘルニア」と診断された方でも、痛みの本当の原因は人それぞれです。炎症が主役の人、関節が主役の人、神経が主役の人。それぞれで、必要な施術はまったく変わります。
だから当院では、施術の前の検査に最も力を入れます。経過を伺い、神経の検査をし、関節の動きを調べ、「この痛みはヘルニア由来か、関節由来か」を一つずつ見分けていきます。
そして正直にお伝えすると、初回の検査だけで、すべてが一度に分かるわけではありません。
検査し、施術し、もう一度検査する。その場で変化を確かめながら、本当の原因を絞り込んでいきます。「原因はここです」と最初から言い切ることはしません。何院も回って、断言された通りにしても治らなかった方なら、その難しさをよくご存じだと思います。
「杖を3か所に置く生活で、腕も上がらなくなっていました。週1回通い、家でもセルフケアを続けて、今は腕も足も快調。階段も、苦痛なく上り下りできます」
実際にあった、
改善のケース
理論だけではイメージしにくいと思いますので、実際にあったケースを一つ、ご紹介します(ご本人の了承を得て、要点をまとめています)。
腰の痛みと、お尻から足にかけてのしびれ
整形外科でMRIを撮り、「椎間板ヘルニア」と診断されました。手術するほどではないとのことで、痛み止め・湿布・電気治療を続けていましたが、半年たっても変わらず、当院に来られました。
検査をしてみると、ヘルニアの場所だけでは説明のつかない所見がいくつも見つかりました。
お尻の奥の筋肉(梨状筋)が強く緊張して坐骨神経を締めつけ、お腹の深層の筋肉(腹横筋)はサボって働いておらず、骨盤は後ろに倒れた猫背姿勢。つまり、痛みの中に「ヘルニア由来のもの」と「関節・筋肉由来のもの」が、混ざっていたのです。
そこで、まずお尻の筋肉の緊張をゆるめ、サボっていたお腹の筋肉を呼び覚まし、骨盤の傾きを整えていきました。痛い姿勢は一度も取らせず、毎回その場で変化を確かめながら。
施術を重ねるごとに症状は軽くなり、約2ヶ月後には、日常生活でほとんど気にならない状態まで回復されました。手術は受けていません。
この方の場合、ヘルニアそのものより、その周りで起きていた「火事」と、見落とされていた関節・筋肉の問題が、痛みの主役でした。
あなたの痛みにも、同じように、まだ手をつけられていない原因が隠れているかもしれません。
※効果には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。
安全のために|
医療機関を優先すべきケース
⚠ 次のような症状がある場合は、まず医療機関へ
整体よりもまず、医療機関での検査をお勧めします。当院でも、これらが疑われる場合は施術を行わず、受診をご案内します。
・排尿・排便に異常がある、足の感覚が明らかに鈍い、足に力が入らない(馬尾症候群の疑い) ・じっとしていても痛む、夜間に強くうずく ・原因不明の体重減少、発熱を伴う腰痛 ・転倒や事故のあとの、強い痛み
腰の痛みは、その多くが筋肉・関節・神経といった「体を動かす仕組み」から起こります。当院が診るのも、この範囲です。この範囲の痛みであれば、多くの方が、施術を重ねるごとに良い方向へ向かわれます。
ただ、あまり知られていませんが、ごくまれに、腰の痛みの奥に、内臓の病気(腎臓・婦人科系の病気など)や、その他の疾患が隠れていることがあります。これらは画像検査でもすぐには分からないことがあり、私たちも、もちろん診断はできません。
それでも、長年多くの体を診てきた経験から、一つ言えることがあります。
筋肉や関節が原因の痛みなら、施術を重ねるごとに、体は確かに変わっていきます。ところが、別の原因が隠れている場合は、その場で多少楽になっても、すぐに元へ戻ってしまう。改善の手応えが、明らかに伴わないのです。
だからこそ当院では、検査と施術を重ねても改善が見られないとき、「整体で粘る」ことをしません。別の原因が隠れているサインかもしれないと考え、しかるべき医療機関への受診をお勧めします。それも、あなたの体を預かる者の責任だと考えています。
私たちは、「治せること」と同じくらい、「治せないものを見逃さないこと」を大切にしています。
「ヘルニアだから」と、
諦める前に。
私は、「どんなヘルニアでも必ず治します」とは言いません。
でも、なぜ今まで治らなかったのかを説明できないまま、終わらせることはありません。
ヘルニアの「形」は、やがてあなたの体が片付けてくれることが多い。そして痛みの正体である「炎症の火事」は、血の巡り・関節・神経を整えることで、鎮めていける。骨の形そのものを変えなくても、です。
当院に通われている最高齢の方は、94歳です。
当院には、先払いの回数券はありません。無理に通わせることもしません。通っていただいた分だけ、自然に割引が受けられる仕組みです(6回目で3割引、12回目で半額)。ご相談だけでも、構いません。
成田山への散歩も、ゆめタウン久留米での買い物も、もう一度、痛みを気にせず楽しめるように。
「自分のヘルニアは、消えるタイプなのか」「この痛みは、ヘルニアと関節、どちらが原因なのか」――そんな疑問だけでも、構いません。まずは一度、お聞かせください。
※ご相談のみでも大歓迎です。無理な勧誘は一切行っておりません。
もっと深く知りたい方へ
このページでは、椎間板ヘルニアについての考え方をお話ししました。さらに深く知りたい方は、テーマ別の記事をご用意しています。
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